紅葉の高野山で、宿坊(しゅくぼう)に一泊しました。とても素敵な体験ができたので報告します。
宿坊とは
宿坊とは寺院や神社が参拝者のために作った宿泊施設のことです。昔は僧侶や参拝者だけが宿坊を利用していたそうですが、現在は一般の観光客も泊まることができます。お寺なのでホテルや旅館とは違って設備は質素ですが、お寺に泊まるのはめったにできない貴重な体験になります。また宿坊で精進料理を味わったり、瞑想や写経に参加したりするのもおもしろい体験です。
高野山には、51の宿坊寺院があるそうです。Youtubeのテレ東BISで見ましたが、最近ではインバウンドの外国人観光客に泊まってもらうために設備や料理なども改善されていて、豪華な宿坊もあるとのこと。宿坊に泊まるのは気が引けるかも知れませんが、気楽に利用しても大丈夫でしょう。
電車の中で宿坊を検索
猫太郎は急に思い立って高野山に行ったのですが、一泊できないかと高野山に向かう電車の中で宿泊施設を検索しました。ほとんどのサイトで部屋が残っていなかったのですが、Agoda(アゴダ)に最後の一部屋が残っていました。それは光明院(こうみょういん)というお寺でした。Agodaで口コミを見ると高評価ばかりでしたので、すぐに予約しました。大人2名、1部屋1泊で21,600円でした。素泊まりで、チェックイン15時、チェックアウト9時とありました。
せっかくなら食事も宿坊でしたいと、ネットで予約後に電話でお願いしてみました。もう夕食は間に合わないが朝食なら一人1,000円で用意できるとの返事で、お願いすることにしました。ついでに何時くらいまでにチェックインしたほうがいいですかと聞くと19時くらいまでがよいと言われました。21時くらいには門を閉じるそうです。
紅葉の最盛期に、当日に宿が取れたのは幸運でした。
お参りをしてから宿坊に
お参りをして夕食をとると、18時前。もう暗くなっていました。光明院は高野山の中心部にあります。メインストリートを金剛峯寺から奥の院の方に進んでいくと、右手に案内の石碑がありました。
石碑から横道を少し登ったところに光明院の門が見えました。暗闇の中に提灯が光って浮かび上がっています。
門を入ると左手にお寺があり、玄関の扉が開けてありました。奥に見える花と金色の屏風が幻想的な雰囲気です。
玄関に名前が貼ってあるスリッパが置いてありました。スリッパに履き替えて中に入ると、スタッフのお坊さんが座敷に通してくれました。暖房をつけてくれて、部屋の準備ができるまで抹茶とお菓子をいただきながら待ちます。しばらくしてから、宿泊する2階の部屋に案内してくれました。
光明院には、個室とふすま仕切りの部屋があるのですが、猫太郎たちはふすま仕切りの部屋でした。中にはすでに布団が敷いてありました。石油ヒーターとこたつ、テレビ、加湿器、金庫、ポット(魔法瓶)、お茶とお菓子、浴衣、防寒用の羽織、歯磨きセットがありました。またWi-Fiを使うことができます。
スタッフの方から、朝7時から勤行(ごんぎょう)30分くらい、その後で朝食、8時から護摩行(ごまぎょう)40分くらい、があると説明されました。勤行、護摩行は自由参加であること、写経もできることも聞きました。
トイレ、浴室は共用で清潔でした。トイレは洋式です。
猫太郎たちは疲れていたので、大浴場でお風呂に入った後にすぐに眠ってしまいました。浴場はステンレスの浴槽で学生寮の雰囲気でしたが、綺麗で清潔な感じがしました。
勤行(ごんぎょう)
翌朝、7時から勤行に参加しました。本堂で住職がお経を唱えるのを見て参加します。正座で座るのかと思っていましたが、椅子が並べてあり防寒の毛布も用意されていました。途中で順番に焼香を行いました。外国の方にはスタッフの方が指導されていました。
朝食
勤行の後に昨日最初に案内された座敷に案内されました。すでに食事が用意されていました。精進料理で肉や魚はありませんが、十分な量で味にも満足しました。
朝食後に部屋に戻ると布団が片付けられていました。
護摩行
8時からの護摩行にも参加しました。住職が炎の中に供物や護摩木を投じて祈祷を行います。参加者は護摩壇を囲んで椅子に座ります。煙を逃すために扉を開けるので、防寒の毛布が用意されていました。護摩行中も写真を撮ってもよいとのことで、皆さん写真を撮っていました。炎がゆらめくのを見ていると神聖な気持ちになりました。最後に住職が太鼓を打ち鳴らして、護摩行は終わりました。
最後に住職から法話があり、本尊の阿弥陀如来にお祈りしました。賽銭箱の前に垂れ下がった紐の輪は阿弥陀如来の右腕に繋がっていて、この紐を手首にかけて手を合わせることで仏様と繋がった感じがしました。勤行も護摩行も貴重な体験になりました。
宿坊を後に
部屋に戻って荷物をまとめて、チェックアウトしました。料金は後払いで、クレジットカードや電子マネーも使えました。宿坊を出る時には、住職とスタッフの方が見送ってくださいました。昨日は暗くてわからなかったお寺や門の様子を見ながら、宿坊を後にしました。
光明院から奥之院参道の入口「一の橋」はすぐで、奥之院に参った後に大阪に戻りました。高級なホテルに泊まるよりずっと思い出に残る旅になりました。